(更新日:2015-04-01)

新しいコンセプトの飲食店向け注文システム

※本研究は荒井研究室との共同研究による成果です.

コンセプトムービー

テーブル型のユーザインタフェースと注文システム

 テーブル上のユーザインタフェースを実現する手法として,テーブルの下に大型のディスプレイを設けたり,天井からテーブル上に画面を投影したりする手法があります.これらを利用した飲食店向けの注文システムも既に実用化されており,例えば「Touch-Screen Table Pizza Ordering System」や「E-Table™」などの情報をインターネット上で見つけることができます.一方,国内では,飲食店向けの注文システムとして,各テーブルに小型のディスプレイが備え付けられていて,これを操作することによって注文するシステムを見かけることがあります.
 これらのシステムについて以下の問題点に注目します.

導入容易性
テーブルの下に大型ディスプレイを設ける方法では,システムの導入のためにテーブルを置き換える必要性が生じます.天井からテーブル上に画面を投影する方法でも,ユーザ操作のためのタッチパットをテーブルに据付ける構成のシステムがあります.システムの導入容易性を高めるには,既存の什器類をそのまま使用できることが望ましいと考えられます.
衛生管理
テーブル上に専用端末を設置する注文システムでは,利用者が手で端末を直接操作するため,端末の衛生管理が不可欠です.テーブルを拭くだけでなく,端末を清拭する作業の徹底が必要です.
複数人の同時操作
テーブル上に専用端末を設置する注文システムでは,テーブル上に設置するスペースの関係上,端末の大きさに限度があるため,複数人の同時操作を考慮したユーザインタフェースが提供されていないことがあります.そのため,複数人が別々にメニューを確認したり注文したりすることができません.
耐故障性,保守容易性
テーブルの下に大型ディスプレイを設ける方法や専用端末をテーブル上に設置する方法では,飲み物をこぼしたりして装置に液体かかかった場合などに対する耐故障性が必要です.専用端末型のシステムでは落下等による故障の可能性もあります.万一故障した時には,容易に機器を交換できるような保守容易性も必要です.

深度情報を用いたテーブルタッチ注文システムの試作

 Followable Computingに関連する派生的な研究として,深度情報を用いたテーブルタッチ注文システムを試作しました.天井に深度センサーとプロジェクタを下方のテーブルに向けて設置します.深度センサーがテーブル上の利用者の手の動きを読み取り,メニューの操作や注文を行うことができます.
 深度センサーの情報を用いているため,前述の問題点の改善に加えてテーブル状況の把握が可能になりました.テーブル上に配置された食器の位置を認識して空いたスペースにメニューや広告動画が表示されます.将来的には,本機能を高度化することにより,食器上の飲食物の減り具合を認識して食事状況を把握できる可能性があります.食事状況の把握により,食器の片づけや食後デザートなどを運ぶタイミングを店員に伝えるなど様々な応用が期待されます.

図1 試作システム構成図

図2 システム外観

図3 メニュー操作の主なジェスチャ及び機能

主な成果

  • 山口拓也,テーブルタッチオーダーシステム,帝京大学 プログラミングコンテスト2014(最優秀賞受賞)