(更新日:2014-09-03)

リアルタイムでスケーラブルなClassroom Response System

 Classroom Response Systemは,オーディエンス・レスポンスシステム, Response Analyzer, Totalizer等とも呼ばれ,Clickerと呼ばれる製品が広く用いられてきました.現在策定が進められているHTML5やWebSocketなどの新しいWeb技術と,普及が目覚ましいスマートフォンやタブレットを活用すると,よりインタラクティブで使いやすいClassroom Response Systemが実現可能です.本研究ではリアルタイムでスケーラブルな独自のシステム「WebCRS」を開発し,実際に授業での活用を始めています.将来的には,学習者に個別の学習支援をリアルタイムで行う機能の実現により,より効果的な学習を可能にすることを目指しています.

研究成果

スケーラビリティ性について

WebCRSのスケーラビリティ評価の例(※1)

 ClickerなどのClassroom Response Systemでは教室単位でシステムを導入するような形が一般的ですが,WebCRSではクラウド型のサービス提供を想定して実装されています.インターネットが使用できる環境であればいつでもどこでもWebCRSを使用することができます.そのため,全校集会,学年集会,屋外実習などの場でも使用できます.全校集会等での使用を想定すると数百人以上の同時利用に耐えうるスケーラビリティ性が必要になります.WebCRSはそのような状況での使用を想定したアーキテクチャの実現を試みています.

※1:水谷晃三,“スケーラブルでリアルタイム動作可能なレスポンスアナライザの開発,”教育システム情報学会第38回全国大会講演論文集,TE2-3,pp.323-324,2013.

学習者行動からの理解度の推定

K-means法による学習者分類の結果例(※2,3)

 WebCRSはリアルタイムに動作するため,システム利用時の学習者の行動をより正確に把握できます.学習者の行動情報と学習者の理解状況を分析することにより,支援が必要な学習者や注意喚起が必要な学習者を特定できると考えています.将来的には,学習者の状況をリアルタイムに分析し,必要に応じて自動的な個別指導を行うような機構をWebCRSに搭載することを目指しています.自動的な個別指導の実現により,学習効果の向上と教授者の負担低減の両立が実現できるようになる期待しています.

※2:水谷晃三,“Classroom Response Systemの教育利用における学習者行動に関する研究”,FIT2014.

※3:Kozo Mizutani, A Study of Student Behavior in Classroom Response Systems, Proceedings of the 22nd International Conference on Computers in Education, pp.483-488, 2014.

補足事項

当研究の一部の成果は独立行政法人日本学術振興会平成24年度科学研究費助成事業(若手(B)24700911)の助成を受けています.